運ゲーの効率化 〜後篇〜

前回の記事の続きである。

  • 影分身+身代わり

影分身の使い方でも触れたが、影分身はただ「相手の攻撃を当りにくくする」というだけで、
もし期待にそぐわず連続して攻撃を当てられてしまったら素の状態と同じ攻撃回数で倒されてしまうし、
鈍いなどで攻撃力を上げられ、こちらを一撃圏内にされてしまった場合、
こちらが相手を素早く倒すことが出来なければ相手に何度も攻撃を打たせてしまい、
相手側にチャンスの試行回数を稼がせてしまうことになる。
これを防ぐ方法として、身代わりや防御UP技を持たせることで影分身の恩恵が得られるというのは、影分身の使い方の記事に書いた通りである。
特に影分身によって相手の技の命中率を7割前後まで下げた状態で身代わりを張ることは、
雷を打って来る相手に身代わりを張るのと同じことだという点に注目したい。

混乱するかしないかの運ゲーでは済まされない。
ケンタロスは混乱自滅ダメージ+サンダーの雷ダメージを耐えるので、少なくとも2ターンは行動の猶予がある。
ケンタロス側は破壊光線一撃でサンダーを倒すことが出来るため、この2ターンのうち一度でも混乱を掻い潜ればほぼ勝ちであり、
破壊光線の命中率を考慮しても約7割の確率でこの条件を満たす。
しかもこれはサンダーの雷が命中した時の話で、
雷の命中率や2ターン目で混乱が解ける確率等も考慮に入れると数字はもっと伸びる。
すなわちケンタロス側は少なく見積もっても7割以上の確率でサンダーに勝てるのである。
もちろんこれは対サンダーに限った話ではない。
寧ろサンダーよりも火力が無く、3ターンや4ターン行動出来て更に高い確率で勝てる相手の方が多い。

ただ、逆にケンタロス側もまた55カビゴンなど不利だということが分かっている相手に負けたとき文句は言えず、
そういう相手に対しリフレクターを残したり、別のエースを出す等の対策もせずに、
初めから運ゲーで強行突破するつもりでかかるのは如何なものかと思われる。

  • 冷凍ビーム

追加効果発動率が1割である冷凍ビームも、16回打てばそれは約81.5%まで上がるというのは有名な話で、
冷凍ビームを持つポケモンを倒す手段に乏しく、何度も冷凍ビームを打たれた挙句凍ってしまった結果負けるというのは、
クロスチョップが当ったから負けた」と言うのと同じ話である。
前回の爆裂パンチの話と被るが、このように「ある確率によって爆発的アドバンテージが得られる」という技は、
防御をガッチリ固めて受け合いの中で打つ回数を増やしたり、耐久力のある寝言持ちポケモンに持たせ、
その試行回数を増やすことによって、相手を事故らせる確率は上がってゆく。

道具で言えばピントレンズが代表的で、磁石でなくピントレンズ持ちの寝言サンダーは、
雷を打つ回数を増やして相手を事故らせる確率を上げるために全体的に受け思考でパーティを組むことが効率化に繋がる。

  • 解凍

氷漬けが解ける確率もまた凍る確率と同じ1割というのは無視出来ない点で、
凍らせたポケモンをその後短いターンで倒すことが出来ずモタモタしていたら、
凍ったポケモン側からすれば「解凍する試行回数を稼いでいる」のと同じ話である。
ゲンガーがカビゴンを冷凍パンチで凍らせたあと10万ボルトでかなりのターン数かけて殴っているというのは時々見かけるケースだ。


運が絡む戦術を過剰に忌避する人が居るが、果たしてそれは本当に甚だしい運ゲーなのかどうかを考える必要はあるだろう。
改めて計算してみたら実は9割の確率で負けていた試合を、運負けと見なしたりはしていないだろうか。
使い方の難しいポケモンや技も工夫して使えば活躍を見出せるのと同じように、
確率も使い方によっては10%が80%にもなり得て、それは決して放置すべきものではないと筆者は思う。