昆布の3枚セットについて

以前こちらの記事で、代表的な昆布ポケモンの性能についてまとめたが、
今回は、「昆布を狙うポケモン+撒き菱を撒くポケモン+残り1匹」という、実戦で選出し得る3匹のセットについて考察する。*1
割と基本的な事項のおさらいが多いので、今更と思われる方も居るかも知れないが、悪しからず。

撒き菱役の使い方

昆布はほとんどの場合特殊ポケモンによって行われる。それゆえ、特殊に弱いポケモンを起点にし、
特殊に強いカビゴンハピナスライコウあたりを撒き菱を絡めて崩すのが狙いであることが多い。
撒き菱役の代表格であるパルシェンフォレトスは、このうち多くの型のカビゴンを、大爆発の圧力によって複数回流すことが出来る。
昆布役の起点に対してまず昆布役を出し、カビゴンに受けられ、そのカビゴンに対して撒き菱役を出して撒き菱を撒く。ここから昆布モードが始動するというのが一般的なパターンだろう。
ここで最も注意すべきは、撒き菱役はあくまで「多くの型の」カビゴンを流せるというだけであり、
フォレトスは大文字を打たれたら即死、パルシェンも捨て身タックル+電気技で撒き菱を撒いた瞬間倒されてしまうという危険性は常にあるという点。
これらのリスクを踏まえると、出来れば撒き菱役はカビゴンに対して後出しではなく、カビゴンが来ることを読んで同時に繰り出せればベスト。
次のようなテクニックがある。

昆布側の行動 相手の行動
サンダー カビゴン

吹き飛ばし
捨て身タックル
パルシェン登場)
パルシェンにチェンジ

カビゴンにチェンジ
撒き菱 何か

サンダーとカビゴンが向き合ってしまったのでパルシェンにチェンジしたいが、電気技などを恐れて後出しはしたくないという場合、
サンダーは捨て身タックルを1発受ける覚悟で一旦吹き飛ばし、別のポケモンを目の前に登場させる。
多くの場合はここでサンダーに弱いポケモン(上記で言う相手のパルシェン)が出て来るので、相手は次のターンすぐまたカビゴンに引っ込めるだろう。
そこにこちらのパルシェンを合わせるのである。
これによって、パルシェンを無償でカビゴンの前に出すことが出来る。
もちろんこの立ち回りにはあくまで読みが絡んでいるため、確実に決まることではない。

撒き菱役のもうひとつの非常に重要な役目は、大爆発である。
複数対決を前提とした昆布は、それ自体は鈍いカビゴン等の1匹残しに弱いが、
それに対しては序盤に撒き菱を撒いたパルシェンなりフォレトスなりを再び出し、最後に大爆発を決めることで対策が出来る。
撒き菱を撒けるポケモンのうち、この2匹は昆布で崩したいカビゴンを流せる上に、大爆発で1枚残しの処理が出来るというのが非常に優れている点。
爆破速攻等では、爆破ポケモンは相手の枚数を減らして最後にエースを有利なタイマンに持ち込むのが狙いであることが多いが、
昆布における爆破ポケモンは、途中では爆発せず、最後に1枚残った相手にトドメを刺すという使い方が主となる。
カビゴンの鈍いに合わせるという仕事上、パルシェンにしてもフォレトスにしても鈍いはほぼ必須と言える。
ここまでの内容に関する参考ログ

3枚目の役目

ここまでの2枚である、昆布役+撒き菱役に関しては、やることはほぼ決まっている。
ここで重要になるのは、残りの1枚である、第3のポケモンである。
ここまでの2枚で受からないポケモンに対する受けを用意するということももちろん大事だが、
この枠に求められる重要事項は、「理想的な2vs2に持ち込む力」と、「撒き菱役で処理出来ない1枚残しへの対策」だと筆者は実戦を通して感じている。

  • 理想的な2vs2に持ち込む力

昆布という戦術は、相手に受けが1枚しかおらず、残りの2枚が両方とも昆布役に弱いという状況なら圧倒的な力を発揮することが出来るが、
相手に3枚残っていると実際はそこまで巧くさせてもらえないことが多い。
そこで、3vs3から枚数を減らして2vs2にするという策略である。
相手が残り2匹になると、吠えた時に出て来るポケモンは確実に1匹に絞られるし、2匹のうちどちらか一方は昆布役に弱い、という状況も非常に多い。
これなら昆布モードに入る絶好のチャンスである。
「枚数を減らして2vs2に持ち込む」という性質上、ここも爆発が出来るポケモンが望ましい。
問題は「爆破を誰に当てやすいか」である。
例えば昆布役がサンダー、撒き菱役がパルシェンという場合を考えよう。
狙うのはサンダー昆布なので、サンダーの出汁である水やエアームドヘラクロスあたりは出来れば残したい。
残したいということは、すなわちそれらのポケモンに出来るだけ爆破が当たらないようにしたい。
ここで候補に挙がるのは、例えば大文字カビゴン。水とエアームドに強いため、他のポケモンに自爆を当てやすい。
ハガネールは水を呼んでしまい、大爆発が水に当たりやすいため、この性能に関してはやや劣ると言える。

「爆破する前に何かを残せるポケモン」も優秀。例えばナッシーである。
眠り粉や痺れ粉で状態異常を撒き、別のポケモンに大爆発を当てることが出来れば理想的。
特にカビゴンを眠らせることが出来れば、昆布での崩しがかなり楽になるだろう。

  • 撒き菱役で処理出来ない1枚残しへの対策

先ほどは「昆布で崩す対象」をカビゴンとし、パルシェンフォレトスはそのカビゴンに後出しが出来るため話が成立していたが、
例えばサンダー昆布で、崩す対象がライコウだった場合、1匹残しに対してパルシェンを後出しすることは出来ない。
ライコウが素眠りに入っていれば可能だが、ライコウが健康な状態で「ライコウvsサンダー+パルシェン」という状態にされてしまったらここからライコウに逆転を許してしまう。
また、ライコウが寝言だった場合も同様である。
その際に、「ライコウ1匹残しを対策出来るポケモン」が3枚目に必要となる。
爆破ポケモンで言えばカビゴンハガネールが該当する。
また、今求められている条件としては「1匹残しへの対策」というだけなので、爆破に拘らず、滅びの歌や宿木のタネ等で代用することも出来る。
今はライコウを例にしたが、フーディン等に対しても同様のことが言える。

3枚目にこのような役目を与える際に気を付けることは、「撒き菱役の使い方が変わる」という点である。
1匹残し対策が撒き菱役ではなく、この3枚目になっているので、撒き菱役は最後までとっておかずに途中で爆発するのが効率的な使い方と言える。
例えば、自分が「55サンダー+パルシェンカビゴン」、相手が「55ライコウカビゴンエアームド」の場合、
こちらはパルシェンで撒き菱を撒いた後、エアームドに当たらないように大爆発をすることが成功すれば、
上記の「理想的な2vs2に持ち込む」が成功したと言える。そして1匹残し対策は自爆カビゴンに任せれば良い。
この話に関する参考ログ1
この話に関する参考ログ2


以上の観点から、3枚目のポケモンとして、自爆カビゴンは非常に強いというのが筆者の感想である。
サンダー+パルシェンカビゴンや、スイクンパルシェンカビゴンと言った選出がしやすいことの大きな要因なのではないだろうか。

*1:サンダー+パルシェンカビゴン、のようなことである。